野いちご源氏物語 四五 橋姫(はしひめ)

帰り道も馬でというのは軽々しいので、(みやこ)に取りに行かせた乗り物が到着するまで、お(とも)とお待ちになる。
「川に漁師(りょうし)がたくさん来ているようだが、あまり()れないらしい。文句を言って(さわ)いでいる」
このあたりの事情に詳しいお供同士が、近くの川を見て話す。

(かおる)(きみ)もご覧になると、川には粗末(そまつ)小舟(こぶね)がいくつか()かんでいて、(りょう)をしたり荷物を運んだりしている。
<それぞれが何ということもない仕事のために、舟にゆられて行きかっている。心細い生活だろう。しかしそれは私だって同じだ。貴族だからといって特別ではない。絶対に安心な世の中だとは思えない>
悲観(ひかん)的に考えすぎてしまわれる、いつものお(くせ)ね。