霧はあいかわらず深い。
山のお寺とは霧と雲で完全に隔たっている。
<このような寂しいところにご姉妹だけとは。何を思ってお暮らしになっているのだろう。お心細くて引きこもっていらっしゃるのも当然だ>
八の宮様がいらっしゃるお寺の方を見上げて、姫君たちに同情なさる。
「帰り道も分らないほどの霧ですね」
姫君たちのお部屋をふり返っておっしゃる。
出発できるだろうかとためらうお姿は、美しい若者を見慣れた都の人でさえはっとするほどご立派よ。
まして田舎暮らしの女房たちは、見とれてしまってお返事も申し上げられない。
大君が控えめにお答えなさった。
「秋はとくに霧が濃くなります。この季節にお寺にお籠りになりますと、ますます父宮が遠くに思われまして」
嘆くようにおっしゃったご様子が、しみじみと上品でいらっしゃる。
山のお寺とは霧と雲で完全に隔たっている。
<このような寂しいところにご姉妹だけとは。何を思ってお暮らしになっているのだろう。お心細くて引きこもっていらっしゃるのも当然だ>
八の宮様がいらっしゃるお寺の方を見上げて、姫君たちに同情なさる。
「帰り道も分らないほどの霧ですね」
姫君たちのお部屋をふり返っておっしゃる。
出発できるだろうかとためらうお姿は、美しい若者を見慣れた都の人でさえはっとするほどご立派よ。
まして田舎暮らしの女房たちは、見とれてしまってお返事も申し上げられない。
大君が控えめにお答えなさった。
「秋はとくに霧が濃くなります。この季節にお寺にお籠りになりますと、ますます父宮が遠くに思われまして」
嘆くようにおっしゃったご様子が、しみじみと上品でいらっしゃる。



