「こちらにお仕えするようになって五、六年になりますが、以前は亡き衛門の督様のところで女房勤めをしておりました。私の母が衛門の督様の乳母だったのです。お噂はお聞きになったことがおありですか。紅梅大臣様の兄君で、若くしてお亡くなりになった方でございます。
お亡くなりになったのはつい先日のことのような気がいたしますが、あれからもう二十年以上が経ちました。あなた様がこうして大人になっていらっしゃるくらいですものね。衛門の督様は乳母子の私をご信頼くださいまして、人に言えない打ち明け話をなさることもありました。お亡くなりになる直前には、あなた様に関するご遺言を私になさったのです。
もし最後まで知りたいとお思いでしたら、あらためてゆっくりとお聞かせいたしましょう。今は若い女房たちがこちらを気にしております。『お客様と長話をするなんて失礼な年寄りだ』と言わんばかりの顔で聞き耳を立てておりますから」
話は中途半端で終わってしまった。
お亡くなりになったのはつい先日のことのような気がいたしますが、あれからもう二十年以上が経ちました。あなた様がこうして大人になっていらっしゃるくらいですものね。衛門の督様は乳母子の私をご信頼くださいまして、人に言えない打ち明け話をなさることもありました。お亡くなりになる直前には、あなた様に関するご遺言を私になさったのです。
もし最後まで知りたいとお思いでしたら、あらためてゆっくりとお聞かせいたしましょう。今は若い女房たちがこちらを気にしております。『お客様と長話をするなんて失礼な年寄りだ』と言わんばかりの顔で聞き耳を立てておりますから」
話は中途半端で終わってしまった。



