この老女房はお相手が薫の君でも恥ずかしがらない。
それどころか出しゃばって言う。
「まぁ、もったいない。どうして濡れ縁などにお席をご用意したのです。縁側までお入れしなくては失礼でしょう。若い女房たちは何も知らないのだから困りますよ」
年寄りくさく叱る声が薫の君にも聞こえてしまっただろうと、姫君たちは気まずくお思いになる。
そのまま薫の君のおそばへ寄って、物慣れた口調で申し上げた。
「こんなところにお住まいの姫様たちですから、世間からすっかり忘れ去られておいでなのです。都で宮様のお世話になった人などが、たまにはご挨拶にいらっしゃってもよいと思うのですけれどもね、どなたもお越しになりません。あなた様のありがたいご厚意は、身分の低い私でさえ感動しております。お若い姫様たちにも当然お分かりのはずですが、お若いゆえにお礼を申し上げるのを照れていらっしゃるのでしょう」
知らない男性客に対して馴れ馴れしい感じがするけれど、それなりの品はある。
「話の通じる女房がいなくてどうしようかと思いました。そなたが出てきてくれてよかった。私の気持ちもそなたには十分伝わっているようで安心です」
老女房はこっそりとお姿を覗く。
夜が明けようとしていて、やっと少しずつあたりが見えるようになってきた。
ご身分が分からないようにわざと質素な格好をなさっている。
霧に濡れたお着物から、この世のものとは思えないほどすばらしい香りがあたり一面に漂っている。
それどころか出しゃばって言う。
「まぁ、もったいない。どうして濡れ縁などにお席をご用意したのです。縁側までお入れしなくては失礼でしょう。若い女房たちは何も知らないのだから困りますよ」
年寄りくさく叱る声が薫の君にも聞こえてしまっただろうと、姫君たちは気まずくお思いになる。
そのまま薫の君のおそばへ寄って、物慣れた口調で申し上げた。
「こんなところにお住まいの姫様たちですから、世間からすっかり忘れ去られておいでなのです。都で宮様のお世話になった人などが、たまにはご挨拶にいらっしゃってもよいと思うのですけれどもね、どなたもお越しになりません。あなた様のありがたいご厚意は、身分の低い私でさえ感動しております。お若い姫様たちにも当然お分かりのはずですが、お若いゆえにお礼を申し上げるのを照れていらっしゃるのでしょう」
知らない男性客に対して馴れ馴れしい感じがするけれど、それなりの品はある。
「話の通じる女房がいなくてどうしようかと思いました。そなたが出てきてくれてよかった。私の気持ちもそなたには十分伝わっているようで安心です」
老女房はこっそりとお姿を覗く。
夜が明けようとしていて、やっと少しずつあたりが見えるようになってきた。
ご身分が分からないようにわざと質素な格好をなさっている。
霧に濡れたお着物から、この世のものとは思えないほどすばらしい香りがあたり一面に漂っている。



