野いちご源氏物語 四五 橋姫(はしひめ)

(きり)が深いから、姫君(ひめぎみ)たちをはっきりとは見えない。
<もう一度月が出てくれないだろうか>
じれったくお思いになっていると、お部屋の奥で「お客様がおみえのようです」と声をかけた女房(にょうぼう)がいたみたい。
さっと(すだれ)が下ろされて、女性たちはお部屋に入っていく。

こういうときにばたばたと(あわ)てるのは貴婦人(きふじん)らしくないの。
静かにさりげなく姫君たちはお部屋に戻っていかれた。
お着物の音さえ立てない優雅さに感心して、
<なんと上品な姫君たちだろう>
と薫の君は驚かれる。