野いちご源氏物語 四五 橋姫(はしひめ)

山荘(さんそう)が近づくと、ほのかに楽器の音が聞こえてくる。
<音楽をよくなさるとおっしゃっていたな。これまでは機会がなく、お上手だと評判の(みや)様の(きん)も、まだお聞きしていないけれど>
今夜はお聞かせいただけるだろうかと期待して建物に近づかれる。

遠くまで聞こえていたのは琵琶(びわ)の音だった。
ふつうの曲だけれど、場所のせいかしら、新鮮で清らかな音色(ねいろ)よ。
さらにそこへ(そう)の上品な音色が、とぎれとぎれに重なって聞こえてくるの。