野いちご源氏物語 四五 橋姫(はしひめ)

(かおる)(きみ)(はち)(みや)様の山荘(さんそう)をお訪ねなさった。
阿闍梨(あじゃり)から聞いていた以上に質素(しっそ)なお住まいで驚かれる。
山荘といっても、もっと風流(ふうりゅう)につくらせる人もいるのだけれど。

宇治(うじ)(がわ)の音が荒々しい。
これでは心やすらかに過ごすことも、ぐっすり眠ることもできそうにない。
僧侶(そうりょ)のようなご生活の八の宮様にとってはよいお住まいだろうが、姫君(ひめぎみ)たちはどう感じておられるのだろう。このようなところにお暮らしになっているなら、あまり女らしいご性格ではいらっしゃるまい>
と薫の君は想像なさった。

通されたお部屋の、すぐ隣のお部屋に姫君たちはお暮らしみたい。
好色な男性なら話しかけたくなってしまうほどの近さよ。
薫の君でさえ、少しお心を動かされたわ。