野いちご源氏物語 四五 橋姫(はしひめ)

上皇(じょうこう)様からのお使者(ししゃ)(はち)(みや)様のやりとりがすむと、阿闍梨(あじゃり)(みやこ)でお会いした(かおる)(きみ)のことを宮様にお話しした。
「亡き源氏(げんじ)(きみ)のご子息(しそく)でいらっしゃる薫の君にお目にかかりました。ちょうど上皇様のお住まいに参上しておられたのです。仏教にとてもご興味がおありのようで、宮様へのご伝言をお預かりしてまいりました。
『幼いころから仏教の教えを知りたいと深く思っておりましたが、出家(しゅっけ)できずにいるうちにあれこれと生活が忙しくなり、ひとりでこっそりと勉強するだけになっております。八の宮様のご立派なご様子を阿闍梨から(うかが)って、ぜひ宮様のお弟子(でし)にしていただきたいと思ったのです』と、薫の君は丁寧におっしゃっていました」