山深いところへお引越しになったのだから、ますますお訪ねする人はいない。
地元の者だけがたまにお出入りする。
宇治山の奥に、優秀な僧侶が住んでいた。
世間からも尊敬される人ではあるけれど、朝廷の儀式のような堅苦しい場には出ずに、山で修行をしている。
その僧侶のことは、敬意をこめて「阿闍梨」とお呼びしましょう。
阿闍梨は八の宮様が近くに引っ越していらしたことを聞いた。
寂しいご様子で修行やお経の勉強をなさっているというから、<なんとご立派な>と尊敬して、たびたび山荘をお訪ねする。
ご正妻を亡くされてから、宮様はおひとりでお経の勉強をなさっていた。
阿闍梨はさらに深い解説をしながら、
「この世はほんの一時の、仮の住まいです」
というようなことを申し上げる。
まさに宮様が日ごろお感じになっていることだから、<この阿闍梨になら>と打ち明け話をなさる。
「私の心は出家しているも同然なのですが、幼い姫たちを見捨てることだけが心配なのです。それでいまだに出家できずにいます」
地元の者だけがたまにお出入りする。
宇治山の奥に、優秀な僧侶が住んでいた。
世間からも尊敬される人ではあるけれど、朝廷の儀式のような堅苦しい場には出ずに、山で修行をしている。
その僧侶のことは、敬意をこめて「阿闍梨」とお呼びしましょう。
阿闍梨は八の宮様が近くに引っ越していらしたことを聞いた。
寂しいご様子で修行やお経の勉強をなさっているというから、<なんとご立派な>と尊敬して、たびたび山荘をお訪ねする。
ご正妻を亡くされてから、宮様はおひとりでお経の勉強をなさっていた。
阿闍梨はさらに深い解説をしながら、
「この世はほんの一時の、仮の住まいです」
というようなことを申し上げる。
まさに宮様が日ごろお感じになっていることだから、<この阿闍梨になら>と打ち明け話をなさる。
「私の心は出家しているも同然なのですが、幼い姫たちを見捨てることだけが心配なのです。それでいまだに出家できずにいます」



