そのころ、世間から忘れ去られた、ある親王様がいらっしゃった。
お年は五十代かしら、亡き源氏の君の弟宮であられる方よ。
八の宮様と呼ばれていらっしゃる。
母君はご身分の高い方だったから、「東宮の位にお就けしよう」というお話もあったけれど、結局それは叶わなかった。
中途半端にかつぎ上げられただけになってしまって、周りから人がすうっと引いていった。
八の宮様は、内裏はもちろん個人的なお付き合いでも頼れる人がいなくなって、どなたからも見放されたご境遇になってしまわれた。
ご正妻は大臣家の姫君で、「いずれは東宮妃になるかもしれない」というご両親の期待を背負っていらっしゃった。
そのご期待を裏切ることになったと思うとおつらいけれど、ご夫婦仲はよくて、お互いに頼りあってお暮らしになっていた。
お年は五十代かしら、亡き源氏の君の弟宮であられる方よ。
八の宮様と呼ばれていらっしゃる。
母君はご身分の高い方だったから、「東宮の位にお就けしよう」というお話もあったけれど、結局それは叶わなかった。
中途半端にかつぎ上げられただけになってしまって、周りから人がすうっと引いていった。
八の宮様は、内裏はもちろん個人的なお付き合いでも頼れる人がいなくなって、どなたからも見放されたご境遇になってしまわれた。
ご正妻は大臣家の姫君で、「いずれは東宮妃になるかもしれない」というご両親の期待を背負っていらっしゃった。
そのご期待を裏切ることになったと思うとおつらいけれど、ご夫婦仲はよくて、お互いに頼りあってお暮らしになっていた。



