野いちご源氏物語 四四 竹河(たけかわ)

夕霧(ゆうぎり)大臣(だいじん)様がお帰りになったあと、夕方になって(かおる)(きみ)がご挨拶(あいさつ)にいらっしゃった。
先ほど大臣様のお(とも)でついていらしたご子息(しそく)たちも、たしかに皆様ご立派だったのよ。
でも、静かになったお部屋に薫の君が入っていらっしゃると、もう全然違う。

若い女房(にょうぼう)たちは、
「やはり別格でいらっしゃいますこと」
「こちらの姫君(ひめぎみ)のお隣に、婿君(むこぎみ)としてお並びいただきたいものですね」
と、ひそひそ勝手なことを言う。
その気持ちも分からなくないわ。
お若く上品で、身動きなさるたびによい香りが(ただよ)って、この世の人とは思われないほどだもの。