年が明けると、夕霧の大臣様が玉葛の君に新年のご挨拶にいらっしゃった。
姉弟だと信じていたころと同じように、ついたて越しに直接お話しなさる。
「これといった用事もなくてはお伺いすることも遠慮されまして、ご無沙汰しております。気軽にあちこち出歩く年ではなくなりましたから、近ごろはもう内裏と屋敷の往復だけなのです。亡き父君の思い出話などもさせていただきたいと思ってはいるのですが。
私の息子たちはしばしばご機嫌伺いに参っておりますか。御用がありましたら何なりとお申し付けください。『私の姉君でいらっしゃるから、かならず真心をお見せするように』と言い聞かせてあります」
「夫が亡くなって、この屋敷は世間から見向きもされなくなりました。こうしてあなた様がお越しくださいますと、源氏の君に改めて感謝の気持ちが湧いてまいります。それでますます恋しくなってしまうのですけれど」
しみじみとお返事なさってから、姫君のご結婚について相談なさる。
「実は上皇様が長女をお望みなのです。しかし頼りになる後見役がいなくては、みっともないことになるのではと心配で」
「帝からも入内させるようにとの仰せがあったそうですね。どちらに差し上げるべきか、お悩みでいらっしゃいましょう。上皇様は帝の位をお降りになった方ですから、一番華やかな時代は終わったように思われるかもしれませんが、格別なお美しさは昔のままでいらっしゃいます。よさそうな娘がいれば私も差し上げたかったと残念に思っております。しかし、内親王様をお生みになった女御様はこのことをご承知なのでしょうか。あなた様の腹違いの妹君でいらっしゃいますから、お許しがなければ後々面倒な事になるかもしれません」
「女御様はすでにご承知なのです。『毎日退屈にしていますから、母親になったつもりで上皇様とご一緒にお世話してあげましょう』とおっしゃってくださいまして。それで私も、帝ではなく上皇様に差し上げようかと考えはじめたのです」
おひとりでは決められずご相談なさったけれど、なかなか結論は出ないみたい。
姉弟だと信じていたころと同じように、ついたて越しに直接お話しなさる。
「これといった用事もなくてはお伺いすることも遠慮されまして、ご無沙汰しております。気軽にあちこち出歩く年ではなくなりましたから、近ごろはもう内裏と屋敷の往復だけなのです。亡き父君の思い出話などもさせていただきたいと思ってはいるのですが。
私の息子たちはしばしばご機嫌伺いに参っておりますか。御用がありましたら何なりとお申し付けください。『私の姉君でいらっしゃるから、かならず真心をお見せするように』と言い聞かせてあります」
「夫が亡くなって、この屋敷は世間から見向きもされなくなりました。こうしてあなた様がお越しくださいますと、源氏の君に改めて感謝の気持ちが湧いてまいります。それでますます恋しくなってしまうのですけれど」
しみじみとお返事なさってから、姫君のご結婚について相談なさる。
「実は上皇様が長女をお望みなのです。しかし頼りになる後見役がいなくては、みっともないことになるのではと心配で」
「帝からも入内させるようにとの仰せがあったそうですね。どちらに差し上げるべきか、お悩みでいらっしゃいましょう。上皇様は帝の位をお降りになった方ですから、一番華やかな時代は終わったように思われるかもしれませんが、格別なお美しさは昔のままでいらっしゃいます。よさそうな娘がいれば私も差し上げたかったと残念に思っております。しかし、内親王様をお生みになった女御様はこのことをご承知なのでしょうか。あなた様の腹違いの妹君でいらっしゃいますから、お許しがなければ後々面倒な事になるかもしれません」
「女御様はすでにご承知なのです。『毎日退屈にしていますから、母親になったつもりで上皇様とご一緒にお世話してあげましょう』とおっしゃってくださいまして。それで私も、帝ではなく上皇様に差し上げようかと考えはじめたのです」
おひとりでは決められずご相談なさったけれど、なかなか結論は出ないみたい。



