夕霧大臣様のご子息の中将様も、昇進のご挨拶にやっていらっしゃった。
今も新女御様への恋心を忘れていないから、お里下がりなさっていると聞いて、緊張してお越しになる。
「上級貴族の一員に加えていただきましたが、内裏での出世などうれしいとも思えないのです。それよりも、個人的な願いの叶わなかったことだけがいつまでも胸に残って、年月が経つほどに私を苦しめます」
わざとらしいほど大げさに涙をおぬぐいになる。
二十七、八歳の男盛りで、華やかに美しい方よ。
だけれど玉葛の君は苦々しくご覧になっている。
<立派なご両親に守られて、甘やかされて育った人だ。世の中は何でも思いどおりになると信じているらしい。だから出世などどうでもよいと平気で言えるのだろう。亡き夫が生きていれば、私の息子たちだってこんなふうに呑気に暮らしていられただろうに。出世できるかどうかなど気にせず、恋にうつつを抜かして>
三人のご子息たちがかわいそうで、ついお泣きになる。
それぞれご出世なさってはいるけれど、なかなか上級貴族になれないことを玉葛の君をお嘆きなの。
簾のむこうで中将様は、まだあれこれ恨み言をおっしゃっている。
今も新女御様への恋心を忘れていないから、お里下がりなさっていると聞いて、緊張してお越しになる。
「上級貴族の一員に加えていただきましたが、内裏での出世などうれしいとも思えないのです。それよりも、個人的な願いの叶わなかったことだけがいつまでも胸に残って、年月が経つほどに私を苦しめます」
わざとらしいほど大げさに涙をおぬぐいになる。
二十七、八歳の男盛りで、華やかに美しい方よ。
だけれど玉葛の君は苦々しくご覧になっている。
<立派なご両親に守られて、甘やかされて育った人だ。世の中は何でも思いどおりになると信じているらしい。だから出世などどうでもよいと平気で言えるのだろう。亡き夫が生きていれば、私の息子たちだってこんなふうに呑気に暮らしていられただろうに。出世できるかどうかなど気にせず、恋にうつつを抜かして>
三人のご子息たちがかわいそうで、ついお泣きになる。
それぞれご出世なさってはいるけれど、なかなか上級貴族になれないことを玉葛の君をお嘆きなの。
簾のむこうで中将様は、まだあれこれ恨み言をおっしゃっている。



