野いちご源氏物語 四四 竹河(たけかわ)

あれから少将(しょうしょう)様は中将(ちゅうじょう)にご出世なさって、世間から大切にされていらっしゃる。
「ご器量(きりょう)もすばらしい方でしたのに」
「こんな面倒なことになるのなら、上皇(じょうこう)様よりもあの方とご結婚された方がよかったのでは」
一部の女房(にょうぼう)たちは余計なことを言う。

中将様も恋心を忘れてはいらっしゃらない。
立派な家の姫君(ひめぎみ)とご結婚なさったけれど、奥様を愛することはできず、
<少しだけでもお会いできないものだろうか>
といまだに念じていらっしゃる。