尚侍を引退した玉葛の君は、もう出家しようとお考えになったけれど、ご長男が反対なさる。
「妹姫たちのお世話がお忙しくて、ゆっくり仏教の修行などおできにならないでしょう。ご出家はもうしばらくお待ちください。おふたりが落ち着かれたのを見届けなさってから、心置きなく修行に集中なされませ」
とおっしゃるから、ご出家は先延ばしになさった。
ときどき目立たないように参内して、尚侍におなりになったご次女に会いにいかれることもある。
でも、上皇様のお住まいへはけっしてお上がりにならない。
<上皇様は私への恋心をお忘れになっていないらしい。亡き夫と結婚してしまった罪滅ぼしのために長女を差し上げたけれど、万が一、たとえご冗談でも私に色めいたことをおっしゃったら困る。世間の噂になればとんでもなく見苦しいことになる>
そういう理由で上皇様にお近づきにならないのだけれど、まさかご長女の新女御様には打ち明けられるはずもない。
新女御様はお悲しみになる。
<昔から父君は私を特別にかわいがってくださったけれど、母君は妹の味方をなさった。桜の木を取り合ったときだけではない。その他のちょっとした言い争いのときもいつもそうだった。母君は私より妹の方がかわいいのだ>
勘違いして恨んでいらっしゃるの。
上皇様も玉葛の君のご冷淡さをつらく思われている。
「帝の位を降りて、あとは年老いていくだけの私などと結婚させてしまったから、そなたのことはもうどうでもよいと考えているのであろう。無理もないことだが」
ますます新女御様が愛おしくなって、優しくお慰めになる。
「妹姫たちのお世話がお忙しくて、ゆっくり仏教の修行などおできにならないでしょう。ご出家はもうしばらくお待ちください。おふたりが落ち着かれたのを見届けなさってから、心置きなく修行に集中なされませ」
とおっしゃるから、ご出家は先延ばしになさった。
ときどき目立たないように参内して、尚侍におなりになったご次女に会いにいかれることもある。
でも、上皇様のお住まいへはけっしてお上がりにならない。
<上皇様は私への恋心をお忘れになっていないらしい。亡き夫と結婚してしまった罪滅ぼしのために長女を差し上げたけれど、万が一、たとえご冗談でも私に色めいたことをおっしゃったら困る。世間の噂になればとんでもなく見苦しいことになる>
そういう理由で上皇様にお近づきにならないのだけれど、まさかご長女の新女御様には打ち明けられるはずもない。
新女御様はお悲しみになる。
<昔から父君は私を特別にかわいがってくださったけれど、母君は妹の味方をなさった。桜の木を取り合ったときだけではない。その他のちょっとした言い争いのときもいつもそうだった。母君は私より妹の方がかわいいのだ>
勘違いして恨んでいらっしゃるの。
上皇様も玉葛の君のご冷淡さをつらく思われている。
「帝の位を降りて、あとは年老いていくだけの私などと結婚させてしまったから、そなたのことはもうどうでもよいと考えているのであろう。無理もないことだが」
ますます新女御様が愛おしくなって、優しくお慰めになる。



