野いちご源氏物語 四四 竹河(たけかわ)

四月に姫宮(ひめみや)様がお生まれになった。
(おんな)皇子(みこ)様では、残念ながらご将来がものすごく華やかということはない。
でも上皇様はとてもおよろこびよ。
夕霧(ゆうぎり)大臣(だいじん)様をはじめとして、あちこちからお祝いが届く。

女御(にょうご)様はご実家で出産なさった。
祖母君(そぼぎみ)になった玉葛(たまかずら)(きみ)が、姫宮様を大切にお世話していらっしゃる。
上皇様は姫宮様のお顔をご覧になりたくて、「早く戻ってくるように」と何度も(おお)せがある。

生後(せいご)五十日のお祝いのころに、新女御様は姫宮様とお戻りになった。
これまで皇子様は、叔母(おば)女御様がお生みになった内親王(ないしんのう)様おひとりだけだったから、めずらしくてかわいらしいと上皇様は感動なさる。
ますます新女御様のお部屋にばかりお行きになることに、叔母女御様の女房(にょうぼう)たちは不満を()らしている。