夫君は生前、かならず姫君を入内させたいと帝にお願いなさっていた。
帝はそれを覚えていらっしゃって、
「そろそろ入内させてもよい年になっただろう」
と玉葛の君に何度もおっしゃる。
だからといって素直に入内させようとはお思いになれない。
<後宮には明石の中宮様が君臨なさっていて、とても他のお妃様は勝負できないと聞く。その一番下に加わり、もし中宮様からにらまれるようなことがあってはかわいそうだ。後見してくれる父親もなく、心細そうにしている様子を見るのはこちらもつらい>
どうしたものかとお悩みになる。
上皇様からも熱心に仰せがある。
帝であられたころ、玉葛の君をお妃様にできなかったことをいまだに恨んでいらっしゃるの。
「帝の位を降りて、ずいぶん年もとってしまいましたが、父親代わりと思って私にお預けになっては」
優しくおっしゃるので、玉葛の君のお心は揺れる。
<どうしたらよいのだろう。夫との結婚は私が望んだことではなかったけれど、上皇様は私を無礼な女だとお思いだろう。私も老い先短いのだから、ご希望どおりに長女を差し上げて、最後に見直していただこうか>
と決めかねていらっしゃる。
帝はそれを覚えていらっしゃって、
「そろそろ入内させてもよい年になっただろう」
と玉葛の君に何度もおっしゃる。
だからといって素直に入内させようとはお思いになれない。
<後宮には明石の中宮様が君臨なさっていて、とても他のお妃様は勝負できないと聞く。その一番下に加わり、もし中宮様からにらまれるようなことがあってはかわいそうだ。後見してくれる父親もなく、心細そうにしている様子を見るのはこちらもつらい>
どうしたものかとお悩みになる。
上皇様からも熱心に仰せがある。
帝であられたころ、玉葛の君をお妃様にできなかったことをいまだに恨んでいらっしゃるの。
「帝の位を降りて、ずいぶん年もとってしまいましたが、父親代わりと思って私にお預けになっては」
優しくおっしゃるので、玉葛の君のお心は揺れる。
<どうしたらよいのだろう。夫との結婚は私が望んだことではなかったけれど、上皇様は私を無礼な女だとお思いだろう。私も老い先短いのだから、ご希望どおりに長女を差し上げて、最後に見直していただこうか>
と決めかねていらっしゃる。



