上皇様はあいかわらず薫の君を大切にしていらっしゃる。
しょちゅうお住まいへお呼びになるのだけれど、薫の君はお妃様たちへのご挨拶も欠かさない。
新女御様のところへも上がって丁寧なご挨拶をなさる。
<私のことをどう思っておいでだろうか>
かつての求婚者としては気になるところよね。
玉葛の君のご三男も姉君のご機嫌伺いに上がっていた。
薫の君はご一緒にお庭を歩いて、藤の花が美しく咲いているのに目をお留めになった。
「そなたの姉君のお部屋近くに美しい藤が咲いているね。松の枝にかかるように咲いていて見事だ。私もあの花を自分のものにしたかったな」
はっきりとではないけれど、恨み言をおっしゃる。
藤を見上げるお姿が切ない。
「薫の君のご希望を叶えてさしあげられませんでした。弟とはいえ私にはどうすることもできなかったのです」
真面目な少年だから薫の君に同情する。
薫の君としては、心が乱れるほど悔しがっていらっしゃるわけではない。
それでも残念だとはお思いになっている。
しょちゅうお住まいへお呼びになるのだけれど、薫の君はお妃様たちへのご挨拶も欠かさない。
新女御様のところへも上がって丁寧なご挨拶をなさる。
<私のことをどう思っておいでだろうか>
かつての求婚者としては気になるところよね。
玉葛の君のご三男も姉君のご機嫌伺いに上がっていた。
薫の君はご一緒にお庭を歩いて、藤の花が美しく咲いているのに目をお留めになった。
「そなたの姉君のお部屋近くに美しい藤が咲いているね。松の枝にかかるように咲いていて見事だ。私もあの花を自分のものにしたかったな」
はっきりとではないけれど、恨み言をおっしゃる。
藤を見上げるお姿が切ない。
「薫の君のご希望を叶えてさしあげられませんでした。弟とはいえ私にはどうすることもできなかったのです」
真面目な少年だから薫の君に同情する。
薫の君としては、心が乱れるほど悔しがっていらっしゃるわけではない。
それでも残念だとはお思いになっている。



