野いちご源氏物語 四四 竹河(たけかわ)

姉姫君(あねひめぎみ)上皇(じょうこう)様のお住まいへ連れていかれる女房(にょうぼう)女童(めのわらわ)は、美しくしっかりした人だけが(そろ)えられた。
儀式(ぎしき)などはほとんど入内(じゅだい)の儀式と変わらない。
お住まいへ入られると、姫君と玉葛(たまかずら)(きみ)はまず叔母(おば)女御(にょうご)様のお部屋にご挨拶(あいさつ)に上がられた。
玉葛の君の腹違いの妹君(いもうとぎみ)でいらっしゃるから、この女御様に無礼(ぶれい)(もの)と思われないことが、姫君の穏やかなご結婚生活につながるの。

上皇様のところへは夜が()けてからお上がりになる。
他のお(きさき)様は上皇様と同じ四十代の方が多いから、十八、九歳の姫君はひときわお若い。
お美しく初々しい姫君を、上皇様がお気に召さないはずはないわ。
華やかにご愛情をお受けになる。
堅苦しい(みかど)(くらい)をお()りになって気楽に振舞われる上皇様は、ますます優雅でお美しい。
付き添いの玉葛の君はすぐにご自分のお屋敷にお帰りになった。
上皇様はこの機会に会いたいとお思いだったから、残念そうになさる。