そのころ玉葛の君のお部屋では、少将様のことを女房たちが話題にしていた。
どれほど切実そうだったかを口々にご報告するなかで、昨夜の女房が申し上げる。
「『私の命はそなたにかかっている』とまでおっしゃいました。口先だけのことではないようで、お気の毒でございました」
それを聞くと玉葛の君も同情はなさるけれど、考えを変えるおつもりはない。
むしろ嫌なお気持ちになる。
<夕霧の大臣様やご正妻からも頼まれてしまったから、次女の方を差し上げることで納得してもらおうと思ったのだ。こちらとしてはできるかぎり歩み寄ったつもりなのに、こういつまでも長女に付きまとわれては、上皇様とのご結婚がうまくいかなくなるかもしれない。
亡き夫も、長女をただの貴族と結婚させることなどまったくお考えではなかった。上皇様とのご結婚でさえ完全に満足というわけではないのだ。帝や東宮様とのご結婚に比べれば、将来に何の期待もできない。深く愛されて皇子をお生みしたとしても、もう意味はないのだから>
玉葛の君がため息をおつきになったところへ、少将様からのお手紙が届いた。
女房たちは皆で読んで同情している。
玉葛の君はお読みにならない。
お返事は昨夜の女房がお書きした。
「あなた様は桜をご覧になっていただけです。桜の花が散った、それだけのことでございます」
覗きこんだ女房が言う。
「まぁ、そんなお返事ではお気の毒ではありませんか。少将様の恋が終わってしまったことには触れてさしあげないなんて」
「これでよいのよ」
女房はお手紙をさっさと包んでしまう。
どれほど切実そうだったかを口々にご報告するなかで、昨夜の女房が申し上げる。
「『私の命はそなたにかかっている』とまでおっしゃいました。口先だけのことではないようで、お気の毒でございました」
それを聞くと玉葛の君も同情はなさるけれど、考えを変えるおつもりはない。
むしろ嫌なお気持ちになる。
<夕霧の大臣様やご正妻からも頼まれてしまったから、次女の方を差し上げることで納得してもらおうと思ったのだ。こちらとしてはできるかぎり歩み寄ったつもりなのに、こういつまでも長女に付きまとわれては、上皇様とのご結婚がうまくいかなくなるかもしれない。
亡き夫も、長女をただの貴族と結婚させることなどまったくお考えではなかった。上皇様とのご結婚でさえ完全に満足というわけではないのだ。帝や東宮様とのご結婚に比べれば、将来に何の期待もできない。深く愛されて皇子をお生みしたとしても、もう意味はないのだから>
玉葛の君がため息をおつきになったところへ、少将様からのお手紙が届いた。
女房たちは皆で読んで同情している。
玉葛の君はお読みにならない。
お返事は昨夜の女房がお書きした。
「あなた様は桜をご覧になっていただけです。桜の花が散った、それだけのことでございます」
覗きこんだ女房が言う。
「まぁ、そんなお返事ではお気の毒ではありませんか。少将様の恋が終わってしまったことには触れてさしあげないなんて」
「これでよいのよ」
女房はお手紙をさっさと包んでしまう。



