お屋敷にお帰りになると、ご兄弟たちは参内の準備で忙しくなさっている。
今日から季節は夏になるので、内裏でいろいろな行事があるの。
少将様は内裏へ上がる気分にはなれず、何もかもが嫌になってぼんやりしていらっしゃる。
そのお姿に母君の雲居の雁は涙ぐまれる。
父君の夕霧大臣様は、
<玉葛の君が今さらご結婚の話を取り消すことはないだろう。そんなことをすれば上皇様がどうお思いになるか、そのくらいの分別はつく女性だ>
と冷静にお考えになりながらも、やはり後悔するお気持ちはある。
「しまったことをしたな。新年のご挨拶に伺ったときに話を出しておけばよかった。私から強くお願いすれば、きっと許してくださっただろうに」
と残念そうにおっしゃる。
諦めきれない少将様は、また姫君にお手紙をお書きになった。
「桜を遠くから眺めているうちに春が終わりました。花が散ったあとに青々とした葉が茂る季節ですが、私の心は晴れません」
という恨み言を、昨夜の女房宛てに届けさせなさる。
今日から季節は夏になるので、内裏でいろいろな行事があるの。
少将様は内裏へ上がる気分にはなれず、何もかもが嫌になってぼんやりしていらっしゃる。
そのお姿に母君の雲居の雁は涙ぐまれる。
父君の夕霧大臣様は、
<玉葛の君が今さらご結婚の話を取り消すことはないだろう。そんなことをすれば上皇様がどうお思いになるか、そのくらいの分別はつく女性だ>
と冷静にお考えになりながらも、やはり後悔するお気持ちはある。
「しまったことをしたな。新年のご挨拶に伺ったときに話を出しておけばよかった。私から強くお願いすれば、きっと許してくださっただろうに」
と残念そうにおっしゃる。
諦めきれない少将様は、また姫君にお手紙をお書きになった。
「桜を遠くから眺めているうちに春が終わりました。花が散ったあとに青々とした葉が茂る季節ですが、私の心は晴れません」
という恨み言を、昨夜の女房宛てに届けさせなさる。



