そんなふうに春を楽しく過ごされていた姫君たちだけれど、いよいよ桜が散りはじめた。
風が荒々しく吹く夕方、散っていくのが惜しくて姉姫君がおっしゃる。
「風音が気になってしまうわ。私を見捨てて妹のものになった桜だと分かってはいるけれど、かわいそうで」
女房が、
「咲いたかと思えばすぐに散ってしまうような花ですもの、桜など妹姫様におあげになってもどうということはございません」
と強気で申し上げる。
妹姫君は、
「どんな花でも風で散っていくもの。散ったあとの枝も私のものですよ。お悔しいでしょう」
と、かわいらしい得意顔をなさる。
「桜はきちんと心得て、妹姫様のお部屋の方にむかって散っております。お池に落ちた花びらもこちら側へ集まってまいりましょう」
女房がそう言うと、女童がお庭に下りていった。
桜の下を歩きまわって、たくさんの花びらを拾ってくる。
「大空の風に散っても、みんな妹姫様のものでございます」
姉姫君の負けず嫌いな女童が言い返す。
「散った花びらをせこせこ集めてまわるなんて、心の狭い人ね」
風が荒々しく吹く夕方、散っていくのが惜しくて姉姫君がおっしゃる。
「風音が気になってしまうわ。私を見捨てて妹のものになった桜だと分かってはいるけれど、かわいそうで」
女房が、
「咲いたかと思えばすぐに散ってしまうような花ですもの、桜など妹姫様におあげになってもどうということはございません」
と強気で申し上げる。
妹姫君は、
「どんな花でも風で散っていくもの。散ったあとの枝も私のものですよ。お悔しいでしょう」
と、かわいらしい得意顔をなさる。
「桜はきちんと心得て、妹姫様のお部屋の方にむかって散っております。お池に落ちた花びらもこちら側へ集まってまいりましょう」
女房がそう言うと、女童がお庭に下りていった。
桜の下を歩きまわって、たくさんの花びらを拾ってくる。
「大空の風に散っても、みんな妹姫様のものでございます」
姉姫君の負けず嫌いな女童が言い返す。
「散った花びらをせこせこ集めてまわるなんて、心の狭い人ね」



