少将様もよいお声でお歌いになる。
口やかましい老女房などはいないので、音楽の得意な人同士でどんどん盛り上がって楽しまれる。
玉葛の君のご三男は、亡き父君に似てしまわれたのかしら、こういう風流な遊びは苦手みたい。
黙ってお酒だけ飲んでいらっしゃる。
「新年なのですから、さぁ、あなたも」
少将様に言われて、『竹河』というおめでたい歌を皆様とお歌いになった。
初々しい歌声だけれどなかなかお上手よ。
若者たちが見事なお歌を披露なさったので、玉葛の君からご褒美の杯が出た。
薫の君はお飲みにならない。
「酔いすぎると口が軽くなると申しますから。私に何を言わせるおつもりですか」
すでに少し酔っていて、いつもなら言わないような冗談をおっしゃる。
ご褒美の着物も辞退して、ご三男の方に譲っておしまいになる。
ご三男はあわててお返ししようとするけれど、
「歌をご披露したあとの少しの休憩のつもりが、とんだ長居をしてしまいました」
と急いでお帰りになった。
あとに残された少将様は、場の空気が一気に冷めたようにお思いになる。
<あんなに優れた人が姫君に言い寄っているなら、私などに勝ち目はないだろう。このお屋敷の女性たちは薫の君に夢中になるはずだ>
悲しくて情けなくて恨めしい。
「誰もが花のような薫の君に夢中で、私はひとりぼっちですね」
ついお気持ちがこぼれる。
帰ろうと立ち上がりなさったとき、簾のむこうから女房が申し上げた。
「あなた様が花になるときもございましょう。分かりやすい魅力にひかれる女ばかりではありませんよ」
口やかましい老女房などはいないので、音楽の得意な人同士でどんどん盛り上がって楽しまれる。
玉葛の君のご三男は、亡き父君に似てしまわれたのかしら、こういう風流な遊びは苦手みたい。
黙ってお酒だけ飲んでいらっしゃる。
「新年なのですから、さぁ、あなたも」
少将様に言われて、『竹河』というおめでたい歌を皆様とお歌いになった。
初々しい歌声だけれどなかなかお上手よ。
若者たちが見事なお歌を披露なさったので、玉葛の君からご褒美の杯が出た。
薫の君はお飲みにならない。
「酔いすぎると口が軽くなると申しますから。私に何を言わせるおつもりですか」
すでに少し酔っていて、いつもなら言わないような冗談をおっしゃる。
ご褒美の着物も辞退して、ご三男の方に譲っておしまいになる。
ご三男はあわててお返ししようとするけれど、
「歌をご披露したあとの少しの休憩のつもりが、とんだ長居をしてしまいました」
と急いでお帰りになった。
あとに残された少将様は、場の空気が一気に冷めたようにお思いになる。
<あんなに優れた人が姫君に言い寄っているなら、私などに勝ち目はないだろう。このお屋敷の女性たちは薫の君に夢中になるはずだ>
悲しくて情けなくて恨めしい。
「誰もが花のような薫の君に夢中で、私はひとりぼっちですね」
ついお気持ちがこぼれる。
帰ろうと立ち上がりなさったとき、簾のむこうから女房が申し上げた。
「あなた様が花になるときもございましょう。分かりやすい魅力にひかれる女ばかりではありませんよ」



