おふたりが縁側にお上がりになると、簾のむこうから和琴が差し出された。
薫の君と少将様はお互い譲り合って弾こうとはなさらない。
見かねた玉葛の君が、
「薫の君の和琴は亡き太政大臣様の音色に似ているとか。ぜひお聞かせください。鶯がよい声で鳴いておりますから、あの鳴き声につられたということになさって」
とすすめておっしゃる。
いつまでも恥ずかしがっているべきではないから、真剣にというのではなく、さりげなく弾いてごらんになる。
それでもよい音色が響く。
亡き太政大臣様は玉葛の君の実父ではあるけれど、ほとんどお会いすることのないまま玉葛の君はご結婚なさった。
恋しい親というわけではないものの、もうこの世にいらっしゃらないと思えば心細くもおなりになる。
「父君よりも亡き衛門の督様の音色にそっくりだこと。父君のご長男で、そう、ちょうど薫の君がお生まれになったころに若くしてお亡くなりになった方ですよ。その方がここに現れたかと思いました」
まさに薫の君の本当の父親のお名前を出して、玉葛の君はお泣きになる。
涙もろさも奇妙な勘の鋭さも、お年をお召しになったせいかしら。
薫の君と少将様はお互い譲り合って弾こうとはなさらない。
見かねた玉葛の君が、
「薫の君の和琴は亡き太政大臣様の音色に似ているとか。ぜひお聞かせください。鶯がよい声で鳴いておりますから、あの鳴き声につられたということになさって」
とすすめておっしゃる。
いつまでも恥ずかしがっているべきではないから、真剣にというのではなく、さりげなく弾いてごらんになる。
それでもよい音色が響く。
亡き太政大臣様は玉葛の君の実父ではあるけれど、ほとんどお会いすることのないまま玉葛の君はご結婚なさった。
恋しい親というわけではないものの、もうこの世にいらっしゃらないと思えば心細くもおなりになる。
「父君よりも亡き衛門の督様の音色にそっくりだこと。父君のご長男で、そう、ちょうど薫の君がお生まれになったころに若くしてお亡くなりになった方ですよ。その方がここに現れたかと思いました」
まさに薫の君の本当の父親のお名前を出して、玉葛の君はお泣きになる。
涙もろさも奇妙な勘の鋭さも、お年をお召しになったせいかしら。



