野いちご源氏物語 四四 竹河(たけかわ)

そんなことをしているところへ玉葛(たまかずら)(きみ)がお出ましになったみたい。
「いけませんよ、おからかいするなんて。(かおる)(きみ)は真面目な方なのですから」
女房(にょうぼう)を小声で注意なさるお声が聞こえてくる。
<真面目と言われてしまった。そう決めつけられては息苦しいが>
十代のお心にはご不満でいらしゃる。

お酒や果物を出させて、玉葛の君はおっしゃる。
夕霧(ゆうぎり)大臣(だいじん)様はお年を召されるにつれて源氏(げんじ)(きみ)そっくりになっていかれますね。あなた様はとくに似ていらっしゃるところはないようですが、雰囲気が落ち着いていて上品なところは、源氏の君のお若いころを想像させます。きっとお若い(さか)りはこんなふうでいらっしゃったのでしょうね」
薫の君に源氏の君の面影(おもかげ)を探して悲しくなってしまわれた。
お帰りになると、女房たちはうっとりしながら(のこ)()をほめそやす。