玉葛の君は少し離れたお部屋にいらっしゃったから、そちらに薫の君をお呼びになった。
階段を上がって濡れ縁にお座りになる。
お庭の梅のつぼみはわずかにふくらんで、鶯がまだ初々しい声で鳴く。
澄まし顔で玉葛の君を待っていらっしゃるので、女房たちは少し困らせてみたいような気がしてくる。
ちょっとした冗談を申し上げる女房もいるけれど、一言二言でさりげなくかわされてしまう。
このままではつまらないと、勝ち気な上級女房が声をおかけした。
「まだお若いから緊張していらっしゃるのね。そんなにお行儀よくなさらないで。梅の枝は、折って自分のものにするとよりいっそうよい香りがするのですよ。あなた様を恋人にしたらどんなふうかしら、いっそうよい香りがするのかしらと私たちをどきどきさせてくださらなくては」
<うまいことを言う>
と薫の君は感心なさって、
「まるで枯れ木のような男だと思っておられるのでしょうが、そんなことはありませんよ。あなたたちのご存じないところではいろいろあるのです。近づいて袖の香りを確かめてごらんになりますか」
と少し挑発的なことをおっしゃる。
めずらしいご態度に女房たちは色めきだって、本当にお袖を引きそうなほどお近くに寄っていく。
階段を上がって濡れ縁にお座りになる。
お庭の梅のつぼみはわずかにふくらんで、鶯がまだ初々しい声で鳴く。
澄まし顔で玉葛の君を待っていらっしゃるので、女房たちは少し困らせてみたいような気がしてくる。
ちょっとした冗談を申し上げる女房もいるけれど、一言二言でさりげなくかわされてしまう。
このままではつまらないと、勝ち気な上級女房が声をおかけした。
「まだお若いから緊張していらっしゃるのね。そんなにお行儀よくなさらないで。梅の枝は、折って自分のものにするとよりいっそうよい香りがするのですよ。あなた様を恋人にしたらどんなふうかしら、いっそうよい香りがするのかしらと私たちをどきどきさせてくださらなくては」
<うまいことを言う>
と薫の君は感心なさって、
「まるで枯れ木のような男だと思っておられるのでしょうが、そんなことはありませんよ。あなたたちのご存じないところではいろいろあるのです。近づいて袖の香りを確かめてごらんになりますか」
と少し挑発的なことをおっしゃる。
めずらしいご態度に女房たちは色めきだって、本当にお袖を引きそうなほどお近くに寄っていく。



