野いちご源氏物語 四三 紅梅(こうばい)

大切に育てられた年ごろの姫君(ひめぎみ)が三人もいらっしゃると、求婚(きゅうこん)者(しゃ)がぞくぞくと現れる。
帝(みかど)や東宮(とうぐう)様も入内(じゅだい)をお望みになっている。
紅梅(こうばい)の大臣(だいじん)様は、父親として悩みどころね。
<帝には明石(あかし)の中宮(ちゅうぐう)様がいらっしゃる。あの方の勢いに勝つことはできないだろう。しかし弱気になっていてはつまらない。東宮様の方には夕霧(ゆうぎり)大臣の姫君が入内なさって格別のご愛情らしい。こちらも強敵だが、だからといって諦(あきら)めてよいものだろうか。自慢の娘を宮(みや)仕(づか)えに出すのを諦めてしまったら、これまで育てた甲斐(かい)がない>

思いきってご長女を東宮様に入内させなさった。
十七、八歳くらいで、美しく華やかなお顔立ちの姫君でいらっしゃる。