三人の姫君(ひめぎみ)はお年が近い。
つぎつぎと裳着(もぎ)儀式(ぎしき)が行われて成人なさった。
お屋敷の母屋(おもや)紅梅(こうばい)大臣(だいじん)様とご長女、西の離れにご次女、東の離れに(みや)様の姫君がお暮らしになっている。
宮様の姫君のことは、「(みや)御方(おんかた)」とお呼びいたしましょう。

宮の御方は父宮(ちちみや)を亡くされて心細いご境遇(きょうぐう)かと思いきや、父宮や祖父宮(そふみや)のご遺産(いさん)がたくさんおありよ。
ご生活は豊かで、奥ゆかしく気高く、理想的なお暮らしをなさっている。