真央と別れた後、私は深く息をついた。
(はぁ……やっと一安心。バレずに済んだ……)
みんなと一緒に歩きながら、蒼月がたい焼きを抱えつつ「あー」と唸る。
「でも、まだ課題やらないとダメだよね……」
陽向も同意するように頷き、「せっかくだし、天音の部屋でやろうぜ」と提案した。
「……ん?」
(え、今、私の部屋でやるって言った???)
何とか言いくるめて冷暖房完備の図書館でやることにした。
神楽も黙って頷き、飯沼は資料をまとめるためにノートを取り出す。
私達の机には、神社に関する本や資料が整然と並んでいた。
「よし……ここなら集中できる!」
机に資料を広げながら気合を入れる。
やっぱり、こういうのって雰囲気が大切だよね。
「いや、天音は何処でも一緒でしょ」
蒼月がメモ用紙に観察ポイントを書き出しながら、軽口を叩く。
「そういう蒼月だって、何処でも一緒だろ〜」
陽向も軽口を叩く。
陽向は「俺は絵で雰囲気とか動きを表現する」とイラスト担当に。
優太は神楽の書いた観察内容を表にまとめ、神楽は全体の構成を考えながらアドバイスする。
数時間後、レポートの骨格は完成した。
「これなら提出できる!」
みんなで頑張って、メモとかイラストとかで分かりやすくしたレポート用紙。
「これで完璧……!!」
「あとは清書だけだな」
優太の言葉に、その間にいた全員が目を逸らした。

課題も終わったことだし、ウッキウキで家に帰ってレポートを見せる。
「あとは清書だけか……頑張れよ」
「うん!」
「思ったより早かったな」
紗霧様と翡翠様は褒めてくれた。
「あれ?康親様は?」
部屋を見渡す。いつもは居間でゴロゴロしている康親様が、今日はいない。
「ああ、高天原だ」
「え、何で?」
つい聞き返すと、紗霧様は人差し指と親指で丸を作る。
なるほど、賭け事か。
「私も高天原行ってくるー!」
「夕飯は?」
「あっちで食べる!」
「分かった」
私は急いで身支度を整え、家を出た。