野いちご源氏物語 四二 匂兵部卿(におうひょうぶきょう)

明石(あかし)の中宮(ちゅうぐう)様には姫(ひめ)皇子(みこ)様もおひとりいらっしゃる。
三(さん)の宮(みや)様と同じように紫(むらさき)の上(うえ)がかわいがっていらした女(おんな)一(いち)の宮様よ。
お育ちになった六条(ろくじょう)の院(いん)の春の御殿(ごてん)で、大好きだった祖母君(そぼぎみ)を今も恋しがって暮らしておられる。

東宮(とうぐう)におなりの一(いち)の宮様、二条(にじょう)の院の三の宮様、六条の院の女一の宮様、あとは二(に)の宮様もいらっしゃるわね。
二の宮様は真面目なお人柄(ひとがら)で、次の東宮にしようと帝(みかど)が大切になさっている。
内裏(だいり)の梅壺(うめつぼ)にお部屋を頂戴(ちょうだい)しておられるけれど、ときどき六条の院にもお泊まりになるわ。