八月。
いよいよ一周忌のご法要が行われる。
ご準備の忙しさで少しはご気分が紛れる。
<よくもまあ一年も生きられたものだ>
ご自分のお命にあきれるような気がなさる。
ご命日には、身分の上下に関わらず誰もが身を清めてご法要に参加した。
無事にご法要がすむと、その夜も源氏の君はお経をお読みになる。
支度をする中将の君の扇に何か書かれている。
源氏の君が取ってご覧になると、
「紫の上を恋しく思う涙はまだ途切れないのですもの、一年の節目だからといって今日で悲しみが終わるわけではございません」
とある。
源氏の君はそこへ、
「私の寿命はもうほとんど残っていないが、紫の上を思って流す涙はまだまだ体の中にあふれるほど残っている」
と書き加えなさった。
いよいよ一周忌のご法要が行われる。
ご準備の忙しさで少しはご気分が紛れる。
<よくもまあ一年も生きられたものだ>
ご自分のお命にあきれるような気がなさる。
ご命日には、身分の上下に関わらず誰もが身を清めてご法要に参加した。
無事にご法要がすむと、その夜も源氏の君はお経をお読みになる。
支度をする中将の君の扇に何か書かれている。
源氏の君が取ってご覧になると、
「紫の上を恋しく思う涙はまだ途切れないのですもの、一年の節目だからといって今日で悲しみが終わるわけではございません」
とある。
源氏の君はそこへ、
「私の寿命はもうほとんど残っていないが、紫の上を思って流す涙はまだまだ体の中にあふれるほど残っている」
と書き加えなさった。



