ならば、私と珀人は付き合わない方が良いに決まっている。

まだ6月で冷房のついていない教室は窓が全開になっていて、風が吹くと気持ち良い。

風が吹かない時は、蒸し暑いくらいだけれど。

今の汗はきっと冷や汗じゃない。もう私の気持ちはどこか落ち着き始めていた。

「知らねー。突然、飛び降りようとしたし。だから俺が原因じゃないかもだし、とりあえず教室にいる俺を巻き込まなければ良いと思う」

「私が好きなのは、教室にいる丹野くんなんだけど」

「俺だって丹野だけれど」

「まず性格が全然違うでしょ!?」

私の言葉に珀人が上を見上げて、「うーん」と悩んでいる。

珀人のイマイチ理由が分かっていないのかもしれない。

そんな珀人の髪が窓から入った風によって少しだけ揺れている。悩むと上を見上げる癖は丹野くんそのものだった。