ドクドクと鳴り響いている心臓がときめきだけとは思えなかった。むしろ今はその先の言葉を言わないで欲しいと願っている。



 しかし、変えられない運命というものはあるらしい。



「会田さん、好きです。俺と付き合ってくれませんか?」

その言葉に返答など出来るはずがなかった。

そのまま丹野くんは続けていく。

「急にこんなことを言われても困ると思うから、ちゃんと言わせて。放課後に一緒に数学の課題を解いた時が楽しかったんだ。それだけだと思うかもしれないけれど俺にとっては結構救いで……」

その言葉の瞬間、突然、隣にいる珀人が叫んだ。

「伶菜を救いにするな!!!」

しかし、そんな大きな叫び声すら丹野くんには届かない。

丹野くんは耳を赤くして……珀人が恥ずかしい時と同じ顔をして、言葉を紡いでいく。

私にどんな理由があっても、相手の告白の途中に逃げるという選択肢はなかった。