12月25日は雪が降っている日だった。
 
コートにマフラー、耳当てまでつけている私の隣を珀人は夏服のまま歩いている。

それでも、そのことが気にならないほどに珀人と遊びに行く遊園地が楽しみだった。

「伶菜、ジェットコースター乗ろうぜ」

「ジェットコースターは三回乗る」

「俺が倒れるわ!」

好きな人とはしゃいでいる現実がどうしようもなく楽しくて、不安など全て吹き飛んでしまいそうだった。
 
出店の匂いや遊園地の空気感を味わえるだけで楽しくて、アトラクションに乗っていない瞬間すら楽しかった。

実際は隣に珀人がいてくれるから楽しいだけかもしれないけれど。