またしても両手で顔を隠している私を見て、珀人が笑っている。

「ま、焦らずに考えようぜ。別にこのまま伶菜が死にたくならないように俺が頑張れば良いだけの話なんだし」

「そうだけれど……」

「自殺の原因を探すより、死にたくならないように楽しんだ方が良くね? と、いうことで!」

珀人が私の前に来て、ニコッと笑った。

いつも見ている珀人の笑顔なのにドキッとしてしまう。

恥ずかしくてまた両手で顔を隠そうとした私を止めるように、珀人は言葉を続けた。

「伶菜、デートしよう!」

珀人が右手を前に出して、ピッと人差し指を立てる。

「なんと! 俺は他の人に見えないから遊園地の入場料は一人分で良いです!」

「私が一人で遊園地に来たやつだと思われるじゃん!」

「そんなやつ別にいるって」

「そうだけどー!」

「クリスマスに行こうぜ。俺が伶菜のクリスマスを楽しいものにしてやるから!」

そんな格好良いことを言われて断れる人などいるのだろうか。