「とりあえず俺が伶菜と一回話したら好きになるのは分かっていたから、あの日を避けたかったんだ」

「じゃあ、もう丹野くんは私のことを好きってことだよね!? うわー、緊張する!」

「ポジティブか!」

噴水の音など耳にも入らずに笑っている珀人から目が離せない。

これで好きじゃないなんてあり得ないだろう。

私はどうやら丹野 珀人という人物を二度も好きになってしまったようで。先ほど気づいたその事実を再認識して、さらに顔が赤くなる。

そのことを誤魔化すように私は話題を変えた。

「とりあえず、私はなんで自分が飛び降りるのか考えてみる。色々調べてヒントだけでも見つけたいし」

「俺も手伝うし、何でも話せば良いから」

私たちは立ち上がって、公園を出る。

もう日は暮れかけていた。

「珀人、手繋ぐ?」

「俺は繋げねーけど」

「重ねるだけでいいの! それで幸せだから!」

珀人が私の手に自分の手を重ねるようにして歩き始める。

温もりは伝わってこないのに、手が熱くて仕方ないくらい恥ずかしかった。日が暮れる前に帰りたかったのに、もっと帰り道が続いて欲しいと願ってしまう。

その矛盾すらも楽しく感じていた。