6月25日、彼は。

「ねぇ、珀人。私ってなんで死ぬんだろう。今、こんなに幸せなのに」

「知らねーって」

「本当に何も心当たりないの?」

私がじっと見つめても、珀人は視線を逸らさなかった。私たちの間に暫くの静寂が通った。

「本当に知らねー。少なくとも、俺に話さないくらいには信用してなかったんじゃねぇの? それか俺のせいで死にたくなったのかもな」

「そんなわけない!」

「分からねぇじゃん。少なくとも理由が分かるまでは、あっちの俺に近づかないこと。それで良いだろ?」

「うん……でも、本当に私ってなんで死んだんだろう? 珀人が私の手を掴もうとしたんだよね? その状況をもっと詳しく聞いても良い?」

「良いけど、伶菜って怖い話好きじゃないじゃん」

確かに怖い話は好きではないが、自分が死ぬ話から目を逸らすのは良くないだろう。

それに苦手というほどじゃない。

実際に幽霊である珀人を受け入れられた位には(きも)()わっていると思う。