6月25日、彼は。

「お前が好きなのは今を生きている俺だろ?」

「どっちも好きなの!」

「浮気じゃねぇか!」

「どちらも丹野 珀人なんだから良いでしょ!」

他の人からしたら意味の分からない会話だろう。それでも、私たちはそんな意味の分からない会話を息が切れるまで続けた。

「だーかーらー! 私は意見を曲げないから!」

「伶菜っていつもどうだよな。毎回、折れるのはいつも俺の方だし!」

そんな会話を続けて数分、ついに私が吹き出した。

それに釣られて珀人も笑う。

その時間が楽しくて、私はさらに珀人のことが好きになっていく。

笑い疲れた後に、やっと落ち着いた。