6月25日、彼は。

「そんなこと今まで言ったことなかったじゃん!」

「言ったら、伶菜は絶対に気にするじゃん!」

「気にしない人なんていないでしょ!」

その時、初めて会った日に私が付き合う期間について問いかけた時の珀人の言葉が頭をよぎる。

「だから、一年間で良いよ。伶菜が死んだ日の6月25日を超えた後は俺と別れて好きに生きれば良いじゃん。とりあえずは6月25日の伶菜の自殺を止めたいだけだし」

あれはもう一年後にはいなくなるから出てくる言葉だったんだ。思い出から私を引っ張り出すように珀人は続ける。

「俺は伶菜を死なせないために戻ってきたんだ」

そう話す珀人の目の奥には強い意思がこもっていた。