そんな状態で珀人に謝れない。未来の私が自殺して、それに丹野くんを巻き込むなんて嫌だと思っていた。

しかし目の前で丹野くんが笑うと、未来の起きるかも分からない可能性より丹野くんと仲良くなりたいという欲望が勝ってしまう。
 
その日の授業は全く集中出来なくて、私はずっと答えのない自分の本心と向き合っていた。

それからも私は丹野くんとたまに話すようになっていった。

夏の暑さが(しず)まり、秋に差し掛かる頃には顔を合わせれば話しかけるくらいになっていた。

珀人はそんな私と丹野くんを遠くから見ているだけ。

あの日から私たちはお互いが見えているのに話さない、そんな関係になってしまった。

「会田さんってたまに凄い真剣な顔をするよね」

ある日、偶然授業で同じ班になったクラスメイトの女の子にそう言われた。