その笑顔を見てしまえば忘れることが出来ないのではないかと思うほど、見惚れてしまう。

「俺、昨日会田さんと解いた最後の問題が一番自信あるわ。難しかったけれど、二人で解くと安心感が違うから」

丹野くんはもしかして昨日私と一緒に問題を解いた時のことを思い出して笑ったのだろうか。

会話の流れ的にそうだと分かる。

好きな人が私と話したことを思い出して笑ってくれている、翌日も話しかけてくれる、それが嬉しすぎて堪らなかった。

すぐに言葉を(つむ)ごうとした私は、目の前に広がっている景色があの日と……珀人と出会った日と同じことに気づいた。

教室で私の机の前に丹野くんが立っている。

あの日の景色と重なって、嫌でも珀人を思い出す。

しかし、そんな私の思考を止めてくれるように丹野くんは続けた。