「会田さん、スマホ忘れたの?」
きっと丹野くんは私が気まずくて早く帰ろうとしていると勘違いをして気を遣ってくれたのだと思う。
丹野くんはそういう人だ。
伶菜じゃなくて苗字で呼ばれているのに……名前呼びより距離があるはずなのに、話しかけてくれたことが泣きそうなほど嬉しい。
無視出来ない、出来るはずがなかった。
「うん、そうなの。丹野くんは勉強中?」
「明日提出の数学の課題を終わらせてから帰ろうかなって」
その時、教室に珀人が入ってきた。
今の教室には丹野 珀人が二人いるのに、そのことに気づいているのは私と珀人だけだ。
丹野くんに珀人は見えてない。
声も聞こえていないだろう。
「伶菜! 早くそいつから離れろ! こんな所に居なくて良い!」
珀人は焦ったように叫んでいるけれど、そんなことを丹野くんは知らずに会話を続ける。
「会田さんは明日提出の課題は終わった?」
「伶菜! そいつを無視しろ!」
頭にこだまする二人の丹野 珀人の声。
同じ声なのに、言っていることも全く違う。
きっと丹野くんは私が気まずくて早く帰ろうとしていると勘違いをして気を遣ってくれたのだと思う。
丹野くんはそういう人だ。
伶菜じゃなくて苗字で呼ばれているのに……名前呼びより距離があるはずなのに、話しかけてくれたことが泣きそうなほど嬉しい。
無視出来ない、出来るはずがなかった。
「うん、そうなの。丹野くんは勉強中?」
「明日提出の数学の課題を終わらせてから帰ろうかなって」
その時、教室に珀人が入ってきた。
今の教室には丹野 珀人が二人いるのに、そのことに気づいているのは私と珀人だけだ。
丹野くんに珀人は見えてない。
声も聞こえていないだろう。
「伶菜! 早くそいつから離れろ! こんな所に居なくて良い!」
珀人は焦ったように叫んでいるけれど、そんなことを丹野くんは知らずに会話を続ける。
「会田さんは明日提出の課題は終わった?」
「伶菜! そいつを無視しろ!」
頭にこだまする二人の丹野 珀人の声。
同じ声なのに、言っていることも全く違う。



