どうせ珀人に言えば「どこがドキッとするんだよ!」と返されそうだから言わないけれど、普段あまり話さない人が急いでいる時に相手を気遣う言葉をかけてくれた。

それがどれだけ難しいことか考えれば、すぐに分かることだった。

「で、正解は?」

「んー、忘れた!」

「やっぱりしょぼい思い出じゃねーか」

「私にとっては大切な思い出だから良いの」

やっぱり珀人は丹野くんで、一年後にはここまで気軽に話せる仲になっていたのだろうか。

そう考えると嬉しくなる。

嬉しくなると同時に、そんなに幸せな私が何故自殺をするのか気になった。

珀人はそんな嘘を絶対につかないだろう。