「珀人?」

「いや、俺と伶菜が出会ったのってもっと後だと思っていたから。もう既に俺と伶菜が話したことあるってことだろ?」

「覚えてないの!?」

「だって、俺が伶菜と初めて話した記憶はこれから先だし」

これから先、それは今はまだ起こっていない未来でということだろう。

つまり今の丹野くんに私と話した記憶がないってこと?
 
私がその場でガクッと頭を上げて、落ち込んだ。

「伶菜!?」

「私にとっては運命的な出会いだったのに、まさかまだ丹野くんの中では私と話していないなんて……悔しいー!」

「なぁ、教えてくれよ。いつ俺と伶菜は話したんだ?」

私は珀人を近くの木陰にあるベンチに座らせる。

そして、隣に私も座った。

私にとっての大事な思い出を話すのだから、座ってゆっくりと話したかった。