「だから、俺を知ってもらうためにずっと伶菜のそばにいるんだよ」

 珀人の声は他の人には聞こえないのだから堂々と言えば良いのに、わざと私の耳元でそう言うのだ。

「……やっぱり珀人は丹野くんだね」

「急に!?」

「そういう不意にドキッとさせる所がそっくり」

「え?」

その珀人の「え?」は本気で理解出来ていない様子だった。

自分がドキッとさせていることに驚いているんじゃない。

もっと何か別のことに驚いている。