日が暮れていく。
霧が立ちこめて、山のふもとにあるこの別荘は薄暗い感じになった。
蜩が鳴く。
お庭の秋草の花は自由気ままに咲いて、小川の水音が涼しげに聞こえる。
ときどき山から風が強く吹いてきて、松にあたって怖いような音を響かせる。
御息所のためのお経が絶え間なく読まれている。
こういうところではすべてのことが心細く思われて、大将様はしみじみと物思いなさる。
お帰りになる気にはなれない。
霧が立ちこめて、山のふもとにあるこの別荘は薄暗い感じになった。
蜩が鳴く。
お庭の秋草の花は自由気ままに咲いて、小川の水音が涼しげに聞こえる。
ときどき山から風が強く吹いてきて、松にあたって怖いような音を響かせる。
御息所のためのお経が絶え間なく読まれている。
こういうところではすべてのことが心細く思われて、大将様はしみじみと物思いなさる。
お帰りになる気にはなれない。



