お手紙をたびたび送って、お迎えも派遣なさったけれど、お返事さえない。
<意地を張って軽率なことをなさる>
いっそ放っておきたい気もするけれど、あちらの父君がどうお思いになるか気がかりで、日が暮れてからご自分でお迎えにいかれた。
雲居の雁が里帰りしたときにお使いになるお部屋には、お子たちと乳母、あとは女房しかいない。
肝心の雲居の雁は女御様のお部屋に遊びにいっておられるみたい。
<娘時代に戻ったようなお振舞いではないか。母親としての自覚が感じられない。幼い子どもたちを放っておいて、何が女御様とのご交流だ。
私とは性格が合わないと思っていたが、昔からどうしても惹かれる人で、しかも今は子どもがたくさんいるのだから、もう離れることはないと信じていた。ちょっとした浮気でこのようなひどいことをなさるとは>
女房を通じて恨み言をおっしゃると、やっとお返事が届いた。
「すっかりあなたに飽きられてしまいましたから、もうあちらに戻るつもりはありません。これ以上我慢したくないのです。子どもたちの将来だけお世話していただければ満足です」
「これはこれはご丁寧なお返事だ。冷静に考えて、どちらが世間から非難されるでしょうね」
それ以上はおっしゃらず、大臣邸にお泊まりになる。
<宮様には冷たくあしらわれ、妻からは憎まれ、どっちつかずになってしまった>
お子たちが寝ておられるそばにご自分も横たわって、ぼんやりお考えになる。
<新婚だというのに、昔からの妻といざこざを起こして放っておかれては、宮様はまたお嘆きだろう。世間の男は楽しそうにあちこちに恋人をつくっているが、こんなに胸騒ぎがすることをどうして楽しめるのだろうか>
もうこりごりだとお思いになる。
朝になって、やっと雲居の雁は大将様とお子たちの待つお部屋にお戻りになった。
「世間には軽率だと笑われるでしょうがね、どうしても無理とおっしゃるなら、一度別れて暮らしてみましょう。あちらの屋敷に残された子どもたちは母君を恋しがって泣いていたけれど、あなたにとってはいらない子たちなのですから仕方ありません。かわいそうなので私がどうにかして育てましょう」
脅すようにおっしゃると、雲居の雁ははっとなさる。
<女二の宮様のところで育てていただくおつもりだろうか。ここに連れてきた子たちもみんな連れて、宮様のところで新しいご家庭をお始めになるのだろうか>
それは嫌だとお思いになる。
大将様は小さな姫君をおそばにお呼びになる。
「さぁ、いらっしゃい。お父様はもう恥ずかしくて、これからめったにこのお屋敷には来られなくなるのです。それでは姫が心配だから、お父様と一緒にもとの家に戻りましょう。あちらにはお兄様たちがいますよ。せめて兄妹ご一緒にお世話してあげましょうね」
まだとても幼くて、かわいらしいお顔できょとんとなさっている。
「お母さまのお言いつけを守ってはいけませんよ。頑固で聞き分けのない女性になってしまう。それは悪いことですからね」
聞こえよがしにお教えになるの。
<意地を張って軽率なことをなさる>
いっそ放っておきたい気もするけれど、あちらの父君がどうお思いになるか気がかりで、日が暮れてからご自分でお迎えにいかれた。
雲居の雁が里帰りしたときにお使いになるお部屋には、お子たちと乳母、あとは女房しかいない。
肝心の雲居の雁は女御様のお部屋に遊びにいっておられるみたい。
<娘時代に戻ったようなお振舞いではないか。母親としての自覚が感じられない。幼い子どもたちを放っておいて、何が女御様とのご交流だ。
私とは性格が合わないと思っていたが、昔からどうしても惹かれる人で、しかも今は子どもがたくさんいるのだから、もう離れることはないと信じていた。ちょっとした浮気でこのようなひどいことをなさるとは>
女房を通じて恨み言をおっしゃると、やっとお返事が届いた。
「すっかりあなたに飽きられてしまいましたから、もうあちらに戻るつもりはありません。これ以上我慢したくないのです。子どもたちの将来だけお世話していただければ満足です」
「これはこれはご丁寧なお返事だ。冷静に考えて、どちらが世間から非難されるでしょうね」
それ以上はおっしゃらず、大臣邸にお泊まりになる。
<宮様には冷たくあしらわれ、妻からは憎まれ、どっちつかずになってしまった>
お子たちが寝ておられるそばにご自分も横たわって、ぼんやりお考えになる。
<新婚だというのに、昔からの妻といざこざを起こして放っておかれては、宮様はまたお嘆きだろう。世間の男は楽しそうにあちこちに恋人をつくっているが、こんなに胸騒ぎがすることをどうして楽しめるのだろうか>
もうこりごりだとお思いになる。
朝になって、やっと雲居の雁は大将様とお子たちの待つお部屋にお戻りになった。
「世間には軽率だと笑われるでしょうがね、どうしても無理とおっしゃるなら、一度別れて暮らしてみましょう。あちらの屋敷に残された子どもたちは母君を恋しがって泣いていたけれど、あなたにとってはいらない子たちなのですから仕方ありません。かわいそうなので私がどうにかして育てましょう」
脅すようにおっしゃると、雲居の雁ははっとなさる。
<女二の宮様のところで育てていただくおつもりだろうか。ここに連れてきた子たちもみんな連れて、宮様のところで新しいご家庭をお始めになるのだろうか>
それは嫌だとお思いになる。
大将様は小さな姫君をおそばにお呼びになる。
「さぁ、いらっしゃい。お父様はもう恥ずかしくて、これからめったにこのお屋敷には来られなくなるのです。それでは姫が心配だから、お父様と一緒にもとの家に戻りましょう。あちらにはお兄様たちがいますよ。せめて兄妹ご一緒にお世話してあげましょうね」
まだとても幼くて、かわいらしいお顔できょとんとなさっている。
「お母さまのお言いつけを守ってはいけませんよ。頑固で聞き分けのない女性になってしまう。それは悪いことですからね」
聞こえよがしにお教えになるの。



