宮様はまだ物置部屋に鍵をかけて閉じこもっていらっしゃる。
「ずっとこんなふうでいらしては、幼稚だと大将様はお思いになります。いつものお部屋にお戻りになって、それらしいお話をなされませ」
女房たちが口々に申し上げる。
宮様もご自分がどれだけ見苦しいことをしているかは分かっておられる。
でも、この先世間に軽々しく噂されることも、母君が急にお亡くなりになったことも、大将様のせいだと恨んでいらっしゃるの。
だからその夜もお会いにならない。
<めずらしいほど頑固な人だ>
と思いながらも、あれこれ申し上げなさる。
そのたびに女房は宮様のところへお伝えにいくけれど、冷たいお返事だけを預かって戻ってくる、ということを繰り返しているの。
大将様に同情しながら、今夜はもう無理そうだとお伝えする。
「宮様がもう少し落ち着かれるまでお待ちくださいませ。大将様のお気持ちにお変わりがなければ、そのとき改めてお言葉をお伝えいたしましょう。喪中の一年間は母御息所のことだけを考えたいと仰せでしたのに、こうして世間の噂になったことをおつらくお思いなのです」
<安心してお心を開いてくださるだけでよいのに、うまくいかないものだな>
それならばせめてとお願いなさる。
「お部屋までお戻りくださって、ついたて越しにお話しさせていただきたいのです。心のうちをお聞かせするだけです。けっして不届きなことはいたしません。直接お会いできる日がいつになろうと、宮様がお許しくださるまでお待ちいたします」
女房が宮様から預かったお返事は、またはっきりとした拒絶だった。
「母を失って悲しみに暮れておりますところへ、ご自分のご希望ばかりおっしゃいますからつろうございます。世間に噂される自分の不運も嫌になりますが、それより何よりあなた様の強引さが嫌なのです」
お部屋へ出ていらっしゃるおつもりなどまったくないの。
「ずっとこんなふうでいらしては、幼稚だと大将様はお思いになります。いつものお部屋にお戻りになって、それらしいお話をなされませ」
女房たちが口々に申し上げる。
宮様もご自分がどれだけ見苦しいことをしているかは分かっておられる。
でも、この先世間に軽々しく噂されることも、母君が急にお亡くなりになったことも、大将様のせいだと恨んでいらっしゃるの。
だからその夜もお会いにならない。
<めずらしいほど頑固な人だ>
と思いながらも、あれこれ申し上げなさる。
そのたびに女房は宮様のところへお伝えにいくけれど、冷たいお返事だけを預かって戻ってくる、ということを繰り返しているの。
大将様に同情しながら、今夜はもう無理そうだとお伝えする。
「宮様がもう少し落ち着かれるまでお待ちくださいませ。大将様のお気持ちにお変わりがなければ、そのとき改めてお言葉をお伝えいたしましょう。喪中の一年間は母御息所のことだけを考えたいと仰せでしたのに、こうして世間の噂になったことをおつらくお思いなのです」
<安心してお心を開いてくださるだけでよいのに、うまくいかないものだな>
それならばせめてとお願いなさる。
「お部屋までお戻りくださって、ついたて越しにお話しさせていただきたいのです。心のうちをお聞かせするだけです。けっして不届きなことはいたしません。直接お会いできる日がいつになろうと、宮様がお許しくださるまでお待ちいたします」
女房が宮様から預かったお返事は、またはっきりとした拒絶だった。
「母を失って悲しみに暮れておりますところへ、ご自分のご希望ばかりおっしゃいますからつろうございます。世間に噂される自分の不運も嫌になりますが、それより何よりあなた様の強引さが嫌なのです」
お部屋へ出ていらっしゃるおつもりなどまったくないの。



