ご正妻の雲居の雁はただご不安でいらっしゃる。
<お心がすっかり移ってしまわれたらしい。妻ならこのくらいのことはおおらかに受け止めるべきだと大将様はお考えなのだろう。六条の院の女君たちのことをたびたびおほめになるのだもの。でもあちらの女君たちは、もともと源氏の君の浮気に慣れていらっしゃるのだから、そういう方たちと比べて、私のことを心の狭い女とお思いになるのはひどいではないか。
最初からあちこちに恋人がいる夫だったら、私もそういうものだと割り切って、世間の噂など気にせず落ち着いて過ごせただろう。『一途で理想的な夫と結婚したものだ』とこれまで親兄弟も世間もほめたたえてくれていたのに、結婚して十年以上 経ってからこんなに恥ずかしい目に遭うなんて>
と、ひどくお嘆きになっている。
明け方近くなってもどちらからも本心を言い出されることはなく、お心は遠く離れている。
男君は早朝にお手紙をいそいでお書きになる。
女君はご不快だけれど、いつかのように取り上げることはなさらない。
細々とお書きになった文章の一部を小声でつぶやかれる。
女君のお耳に届いたところでは、
「悪い夢からいったいいつ起こしてさしあげたらよいのでしょうか。何もおっしゃってくださらないので見当もつきません」
というような文章だった。
お手紙を包んで、「どうしたら折れてくださるのか」とつぶやかれる。
家来を読んでお預けになった。
<女二の宮様からのお返事を拝見できれば、どのようなご関係か分かるだろうに>
女君はじれったくお思いになっている。
<お心がすっかり移ってしまわれたらしい。妻ならこのくらいのことはおおらかに受け止めるべきだと大将様はお考えなのだろう。六条の院の女君たちのことをたびたびおほめになるのだもの。でもあちらの女君たちは、もともと源氏の君の浮気に慣れていらっしゃるのだから、そういう方たちと比べて、私のことを心の狭い女とお思いになるのはひどいではないか。
最初からあちこちに恋人がいる夫だったら、私もそういうものだと割り切って、世間の噂など気にせず落ち着いて過ごせただろう。『一途で理想的な夫と結婚したものだ』とこれまで親兄弟も世間もほめたたえてくれていたのに、結婚して十年以上 経ってからこんなに恥ずかしい目に遭うなんて>
と、ひどくお嘆きになっている。
明け方近くなってもどちらからも本心を言い出されることはなく、お心は遠く離れている。
男君は早朝にお手紙をいそいでお書きになる。
女君はご不快だけれど、いつかのように取り上げることはなさらない。
細々とお書きになった文章の一部を小声でつぶやかれる。
女君のお耳に届いたところでは、
「悪い夢からいったいいつ起こしてさしあげたらよいのでしょうか。何もおっしゃってくださらないので見当もつきません」
というような文章だった。
お手紙を包んで、「どうしたら折れてくださるのか」とつぶやかれる。
家来を読んでお預けになった。
<女二の宮様からのお返事を拝見できれば、どのようなご関係か分かるだろうに>
女君はじれったくお思いになっている。



