山から吹いてくる風が別荘のお庭に吹き荒れる。
木の葉がすっかり散って物悲しい雰囲気のなか、宮様はお嘆きになっている。
<母君の後を追って死にたいと思っているのに、その願いさえ叶わないとは>
嫌な命だとお思いになる。
女房たちも悲しさで悩みが尽きない。
大将様からは毎日お使者がやって来る。
亡き御息所のためのお経を読む僧侶にはご褒美をお与えになり、宮様には優しいお手紙をお送りになる。
恋心を訴えるお手紙もお見舞いのお手紙もあるけれど、宮様はご覧にならない。
<母君は私と大将様が深い関係になったと信じこんだままお亡くなりになった。悔しくてご成仏もおできにならないのではないか。その大将様のことなど、お名前を聞くだけでもつらい>
お手紙が届いたことをお伝えするだけで涙ぐんでしまわれるから、女房たちもどうしたらよいか困っている。
宮様からは一行のお返事も届かない。
初めのうちは仕方がないと思っていらしたけれど、あまりに続くと恨めしくおなりになる。
<いくらお悲しみでも限度があるだろう。このご態度はあまりに子どもっぽい。のんきに浮かれたお手紙を差し上げているわけではないのだ。お心に寄り添おうとする人のことはうれしくお思いになるのがふつうではないか>
祖母君の大宮様がお亡くなりになったときのことを思い出される。
<亡き母君の代わりに私を元服までお育てくださったのは大宮様だったから、お別れはとても悲しかった。実のご子息である元太政大臣様はそれほどお悲しみでもないご様子で、人目につくご法要だけを派手になさった。私はそれに不満だったが意見できるはずもない。しかし父君は私と同じお気持ちで、大宮様の婿として丁寧なご法要をしてくださったのだ。それがどれほどうれしかったことか。
亡き衛門の督もそうだった。同じ祖母を亡くした従兄弟として、私に寄り添って一緒に悲しんでくれた。落ち着いた性格で考えも深かったから、人の痛みがよくわかったのだろう。それに比べて宮様はあまりにご冷淡だ>
ぐずぐずとお考えになりながら過ごしていらっしゃる。
木の葉がすっかり散って物悲しい雰囲気のなか、宮様はお嘆きになっている。
<母君の後を追って死にたいと思っているのに、その願いさえ叶わないとは>
嫌な命だとお思いになる。
女房たちも悲しさで悩みが尽きない。
大将様からは毎日お使者がやって来る。
亡き御息所のためのお経を読む僧侶にはご褒美をお与えになり、宮様には優しいお手紙をお送りになる。
恋心を訴えるお手紙もお見舞いのお手紙もあるけれど、宮様はご覧にならない。
<母君は私と大将様が深い関係になったと信じこんだままお亡くなりになった。悔しくてご成仏もおできにならないのではないか。その大将様のことなど、お名前を聞くだけでもつらい>
お手紙が届いたことをお伝えするだけで涙ぐんでしまわれるから、女房たちもどうしたらよいか困っている。
宮様からは一行のお返事も届かない。
初めのうちは仕方がないと思っていらしたけれど、あまりに続くと恨めしくおなりになる。
<いくらお悲しみでも限度があるだろう。このご態度はあまりに子どもっぽい。のんきに浮かれたお手紙を差し上げているわけではないのだ。お心に寄り添おうとする人のことはうれしくお思いになるのがふつうではないか>
祖母君の大宮様がお亡くなりになったときのことを思い出される。
<亡き母君の代わりに私を元服までお育てくださったのは大宮様だったから、お別れはとても悲しかった。実のご子息である元太政大臣様はそれほどお悲しみでもないご様子で、人目につくご法要だけを派手になさった。私はそれに不満だったが意見できるはずもない。しかし父君は私と同じお気持ちで、大宮様の婿として丁寧なご法要をしてくださったのだ。それがどれほどうれしかったことか。
亡き衛門の督もそうだった。同じ祖母を亡くした従兄弟として、私に寄り添って一緒に悲しんでくれた。落ち着いた性格で考えも深かったから、人の痛みがよくわかったのだろう。それに比べて宮様はあまりにご冷淡だ>
ぐずぐずとお考えになりながら過ごしていらっしゃる。



